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アパートとマンションに法的な定義はない
アパートとマンションの違いを理解するうえで、まず押さえておきたいのは「法律上、両者を区別する明確な定義は存在しない」という事実です。建築基準法や宅地建物取引業法では、いずれも「共同住宅」として一括りにされています。そのため、同じ物件であっても不動産会社によって「アパート」と呼ばれたり「マンション」と分類されたりするケースがあります。
ちなみに、「アパート」は英語の「apartment(アパートメント)」に由来する和製英語で、本来は共同住宅の一室を指す言葉です。一方、「マンション」は英語の「mansion」が語源ですが、英語圏では「豪邸」や「邸宅」を意味しており、日本のように一般的な集合住宅を指す用法はありません。両方とも英語で正確に表現すれば「apartment」が適切で、日本独自の使い分けといえます。
不動産業界では構造で区別している
法的な定義がない一方で、不動産会社や不動産ポータルサイトでは、主に建物の「構造」を基準としてアパートとマンションを区別しています。多くの不動産会社が加盟する不動産公正取引協議会連合会の規約によれば、マンションとは「鉄筋コンクリート造りその他堅固な建物」と定義されており、アパートは「マンション以外の建物」として位置づけられています。
一般的な区別としては、木造や軽量鉄骨造で建てられた2〜3階建ての低層住宅を「アパート」、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)で建てられた3階建て以上の中高層住宅を「マンション」と呼ぶ傾向があります。ただし、これはあくまで業界の慣習であり、各社で判断基準が異なることを覚えておきましょう。
物件名と建物の種類は一致しないことがある
物件探しの際に注意したいのが、物件名(建物名)と実際の構造は必ずしも一致しないという点です。物件名はオーナー(大家さん)が自由に付けることができるため、木造2階建ての物件に「〇〇マンション」という名称が付けられているケースもあります。
「コーポ」「ハイツ」「メゾン」「ヴィラ」「レジデンス」などの呼称も建物の種類とは無関係に使われています。例えば、「ハイツ」は英語の「heights(高台)」に由来し、本来は高台にある集合住宅を意味しますが、実際には立地に関係なく名称として使用されています。したがって、お部屋探しの際には物件名ではなく、構造(木造・RC造など)をしっかり確認することが大切です。
アパートとマンションの構造の違い
アパートとマンションを分ける最も大きな要素は「建物の構造」です。構造の違いは、日々の暮らしやすさだけでなく、防音性・耐震性・断熱性といった住宅性能にも直結するため、しっかり理解しておきましょう。
アパートの構造(木造・軽量鉄骨造)
アパートに分類される建物は、主に木造(W造)や軽量鉄骨造(LGS造)で建てられています。木造は日本の伝統的な建築方法で、柱や梁に木材を使用した構造です。建築コストが低く、工期も短いため、家賃を抑えた物件が多いのが特徴です。
軽量鉄骨造は、厚さ6mm未満の鋼材を骨組みに使用した構造で、木造よりもやや強度が高くなります。ハウスメーカーが手がける賃貸住宅に多く、プレハブ工法で建てられることも少なくありません。アパートの階数は一般的に2〜3階建てが多く、エレベーターがない物件がほとんどです。
マンションの構造(RC造・SRC造・鉄骨造)
マンションに分類される建物は、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄骨造(S造)などの堅固な構造で建てられています。RC造は引っ張る力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートを組み合わせた構造で、高い耐久性と耐震性を誇ります。法定耐用年数は47年と、木造の22年に比べて大幅に長いのが特徴です。
SRC造はRC造にさらに鉄骨を加えた構造で、超高層マンションやタワーマンションに多く採用されています。鉄骨造のうち重量鉄骨造は、厚さ6mm以上の鋼材を使い、大型の商業ビルやマンションに使用されます。マンションには3階建て以上の中高層建物が多く、エレベーターや共用設備が充実している傾向があります。
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アパートとマンションの家賃・費用の違い
家賃の相場比較
立地や間取り、築年数などの条件が同じ場合、一般的にアパートのほうがマンションよりも家賃が安くなる傾向があります。これは、木造や軽量鉄骨造のアパートは建築コストがRC造やSRC造のマンションに比べて低く抑えられるためです。
例えば、ワンルームの場合、木造アパートの家賃相場は約4万5千円〜5万円程度であるのに対し、RC造マンションでは約6万5千円前後と、1〜2万円程度の差がつくケースも珍しくありません。東京都内になると、同エリアでもアパートとマンションで数千円〜数万円の差が出ることが多いです。ただし、築年数が古いマンションよりも、築浅でデザイン性の高いアパートのほうが家賃が高くなるケースもあるため、「マンションのほうが必ず高い」とは限りません。
管理費・共益費の違い
家賃だけでなく、毎月支払う管理費・共益費にも差があります。マンションはエレベーターやオートロック、管理人の常駐など共用設備が充実している分、管理費や共益費が高くなる傾向があります。一方、アパートは共用設備が限定的なため、管理費・共益費は比較的安価です。また、駐車場代もアパートのほうが安い傾向があります。
初期費用(敷金・礼金・仲介手数料など)についても、家賃が安いアパートのほうが総額を抑えやすいといえます。毎月のランニングコストを重視する方には、アパートは大きな魅力となるでしょう。
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アパートとマンションの性能比較
日々の暮らしの快適さを左右する「防音性」「耐震性」「断熱性」について、アパートとマンションの違いを詳しく見ていきましょう。
防音性の違い
賃貸物件に住む際に多くの人が気にする防音性は、建物の構造によって大きく異なります。一般的に、防音性の高さは「SRC造 > RC造 > 重量鉄骨造 > 軽量鉄骨造 > 木造」の順番とされています。
木造アパートは壁や床が薄いことが多く、隣室の話し声やテレビの音、上階の足音が聞こえやすい傾向があります。軽量鉄骨造のアパートも、木造よりはやや防音性が高いものの、RC造マンションには及びません。
RC造やSRC造のマンションは、コンクリートの壁が音を遮断するため、隣室の生活音はほとんど気にならないレベルです。ただし、RC造であっても壁の施工方法(GL工法など)によっては防音性が低い場合があるため、内見時に壁を軽く叩いて確認するなどの注意が必要です。静かな住環境を重視する方は、構造だけでなく壁の厚さや施工方法にも注目しましょう。
耐震性・耐火性の違い
耐震性については、RC造やSRC造で建てられたマンションのほうがアパートよりも優れている傾向があります。鉄筋コンクリートは引っ張る力に強い鉄筋と圧縮力に強いコンクリートの組み合わせにより、大きな地震にも高い耐性を発揮します。
ただし、1981年6月以降に建てられた建物は「新耐震基準」に基づいて設計されているため、木造アパートであっても一定の耐震性は確保されています。築年数が新しい物件であれば、構造に関わらず基本的な安全性は担保されていると考えてよいでしょう。
耐火性については、不燃材料であるコンクリートを使用したマンションのほうが木造アパートよりも優れています。特に火災のリスクを考慮する方には、RC造以上の構造を持つマンションが安心です。
断熱性・気密性の違い
断熱性は壁の厚みや気密性に大きく左右されます。RC造のマンションは壁が厚く気密性が高いため、外気温の影響を受けにくく、冬は暖かく夏は涼しい傾向があります。冷暖房効率が高いため、光熱費の節約にもつながります。
一方、木造アパートは壁が薄く、隙間が生じやすいため、断熱性がやや低い傾向にあります。ただし、木造には通気性がよく結露が発生しにくいというメリットもあります。木材には湿度が高いときに水分を吸収し、乾燥時に水分を放出する調湿機能があるため、カビの発生を抑えやすいのです。近年は高断熱仕様のアパートも増えてきており、構造だけでなく築年数や使用建材による違いも大きいため、物件ごとに確認することが重要です。
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アパートのメリット・デメリット
アパートのメリット
アパートの最大のメリットは、何といってもコスト面の優位性です。家賃が安い傾向があり、管理費・共益費も低く抑えられるため、毎月のランニングコストを節約できます。家賃が低ければ、敷金・礼金・仲介手数料などの初期費用も比例して安くなるため、引っ越し時の負担も軽減されます。
また、木造アパートは通気性に優れており、室内に湿気がこもりにくいのもメリットです。結露やカビの発生を抑えやすいため、清潔な住環境を維持しやすいといえます。さらに、低層で戸数が少ないアパートは、住人同士の顔が見えやすく、アットホームな雰囲気がある物件も多いです。災害時などに助け合えるコミュニティが自然と生まれやすい点も魅力といえるでしょう。
アパートのデメリット
アパートのデメリットとしては、防音性や防犯性がマンションに比べて劣る点が挙げられます。木造や軽量鉄骨造は生活音が伝わりやすく、隣室や上階からの騒音が気になるケースがあります。楽器演奏が禁止されている物件も多いです。
防犯面では、オートロックや防犯カメラが設置されていない物件が多く、低層階の場合は侵入リスクが高まる可能性があります。セキュリティを重視する方、特に女性の一人暮らしの場合は、防犯面で不安を感じることがあるかもしれません。エレベーターがないため、上階への荷物運びが大変という点も留意しておきましょう。
マンションのメリット・デメリット
マンションのメリット
マンションの大きなメリットは、防音性や耐震性、耐火性といった住宅性能の高さです。RC造やSRC造の堅固な構造により、生活音のトラブルを軽減でき、地震や火災に対しても高い安全性を備えています。
防犯面でも、オートロックやモニター付きインターホン、防犯カメラ、宅配ボックスなどの共用設備が充実している物件が多いため、セキュリティを重視する方にとって安心感があります。管理人が常駐または巡回している物件では、建物内の清掃や設備メンテナンスが行き届いており、快適な住環境が保たれています。高層階であれば日当たりや眺望にも恵まれ、開放的な暮らしが楽しめるでしょう。
マンションのデメリット
マンションのデメリットは、やはりコスト面です。家賃や管理費・共益費がアパートよりも高くなるため、毎月の住居費の負担が大きくなります。建築コストが高い分、同じ広さ・同じ立地であってもアパートに比べて割高になるのは避けられません。
また、RC造マンションは気密性が高いため、結露が発生しやすいという側面もあります。適切な換気を怠るとカビの原因になることがあるため、こまめな換気を心がける必要があります。加えて、マンションは戸数が多く、住人同士のコミュニケーションが希薄になりがちな点も、人によってはデメリットと感じるかもしれません。
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アパートとマンション、どちらを選ぶべき?タイプ別おすすめ
アパートとマンションのどちらが自分に合っているかは、何を優先するかによって変わります。ここでは、ライフスタイルや重視するポイント別に、おすすめの選び方をご紹介します。
アパートが向いている人
アパートは、家賃や初期費用をできるだけ抑えたい方に適しています。学生や新社会人など、住居費の予算に限りがある場合は、アパートを選ぶことで同じエリアでもより広い部屋に住める可能性があります。また、転勤や進学などで短期間だけ住む予定の方にとっても、コストを抑えられるアパートは合理的な選択です。
生活音に対してあまり神経質にならない方や、近隣住民とのコミュニケーションを大切にしたい方にもアパートは向いています。さらに、通気性のよい住環境を好む方や、エレベーターを使わずに出入りできる低層階の暮らしを希望する方にもおすすめです。
マンションが向いている人
マンションは、防音性やセキュリティを重視する方に向いています。在宅ワークが中心で静かな環境が必要な方、小さなお子さんがいて騒音トラブルを避けたい方には、RC造以上のマンションが安心です。
女性の一人暮らしでセキュリティに不安がある場合は、オートロックや防犯カメラが備わったマンションを選ぶことで安心感が高まります。また、長期間にわたって同じ場所に住む予定がある方や、住宅の快適性や設備の充実度を重視する方にも、マンションがおすすめです。多少家賃が高くなっても、快適な暮らしを優先したい方はマンションを検討してみてください。
アパートとマンション以外の名称(ハイツ・コーポなど)について
賃貸物件を探していると、アパートやマンション以外にも「ハイツ」「コーポ」「カーサ」「メゾン」「ヴィラ」「レジデンス」などの名称を目にすることがあります。これらの名称はいずれも法的な定義を持たず、オーナーが物件にイメージのよい印象を持たせるために使用していることがほとんどです。
例えば、「コーポ」は英語の「cooperative house(共同住宅)」から派生した名称で、一般的には低層のアパートに使われることが多いですが、マンションに付けられることもあります。「メゾン」はフランス語で「家」を意味し、おしゃれな響きから好んで使われます。「レジデンス」は英語で「邸宅」を意味し、高級感を演出するために用いられることが多い傾向です。
重要なのは、名称ではなく構造や設備をしっかり確認することです。「ハイツ」と名のつく物件が必ずしも高台にあるわけではなく、「レジデンス」と名のつく物件が必ずしも高級とは限りません。物件名の印象に惑わされず、建物の構造(木造・鉄骨造・RC造など)と設備内容を基準に判断しましょう。
まとめ
アパートとマンションの違いについて、構造・家賃・防音性・耐震性・設備など、さまざまな観点から比較してきました。両者に法的な定義はなく、不動産業界の慣習として主に建物の構造で区別されています。
アパートは家賃や管理費を抑えやすく、通気性にも優れていますが、防音性やセキュリティ面ではマンションに劣る傾向があります。マンションは防音性・耐震性・防犯性に優れ、共用設備も充実していますが、その分コストが高くなりがちです。
どちらが自分に合っているかは、予算・ライフスタイル・重視するポイントによって異なります。コスト重視ならアパート、快適性・安全性重視ならマンションという基本的な考え方をベースに、実際の物件を内見して判断することが大切です。物件名や先入観にとらわれず、構造や設備を確認したうえで、自分にぴったりの住まいを見つけてください。
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